そして


祖母が亡くなったとき、早くに亡くなった祖父の骨とその名が刻まれた墓誌を、盛岡に新たに建てた墓に移した。

以前訪れた時に迷い込んだあのお寺が、その元々家が檀家だった所だと、帰宅後に母から聞かされた。


あの急な石段を、叔父達はあの墓誌を担いで降りたらしい。

頭が下がるというか、いつもお世話になりっぱなしだ。

母と母の弟妹は、母親が違う。

母が小さい頃に、僕の祖母は亡くなった。

母の若い頃によく似た小さなモノクロームの写真が、一枚残っているだけ。


母は若くして父と結婚し、ずいぶんと苦労をした。

そのせいか、母の妹、叔母は親が勝手に決められた相手と結婚することになった。

その時の心情を綴った手紙の存在を、数年前に知った。

母にその理不尽な仕打ちを嘆くものだった。

今は笑って話せるけれど、当時母はどのような気持ちでその手紙を読んだのか。


胸が痛む。


そんな事を思い出しながら空を見上げ、叔母の元へ歩みを進める。


でも、まず先に彼の元へ。