いろいろあった1日。自分から動き、動きを諭され 1年胸に閊えていたものが、音も無く、少し動く 5月のある日、昔の恋人から結婚の知らせが届く。 初めて逢ったときと変わらない笑顔 あれから10年以上過ぎた春に、同じ表情で違うひとと並ぶ不思議な写真 気持…

あれから紙に向かうのが怖いような感覚を覚えて、しばらくは絵を描くことができなかった。 白い紙を見つめていると、何かに引き込まれるように、紙を前にしていつも感じる緊張感とは別の、尻込みするような、威圧されるような。 引き込まれるのに拒まれてい…

あとさき

若い人の悩みを聞く。このような場を得て初めて話をする世代。 頼りない経験と知識から行き着く、自分の答え。 ふと、「これは違うのではないか」と感じる。 以前にも同様の事があり、若い人が出した答えは先を見据えた、「次」を見ていた。 これまでにいく…

今年初めての雪の日

過ぎた事を連想させる出来事に出会う。 護ろうとして犠牲にしたものと、その自らの裏切りが齎した今と。その「今」が、護ろうとした「もの」が何れ「それ」を被る怖れがあると考え、結果多くを犠牲にした。という円環の中で猜疑心に駆られている。これ等が杞…

ひとり

なんとなく眠れない。ただ流されて、受けとめる現実がぼやけているのか。思いの外、今は波打つものが無い。乱反射に目が眩むこともない。 昔みたいに明け方まで絵を描いていたり、ネットワークでのみ知る人達と言葉を交わしたりしている。 距離感は様々で。…

敷居から

終わりの知らせが届く。予感というか、何故か、わかっていたことを追認するような。 正月の集りで、甥っ子に「笑っているところを初めて見た」と言われる。 4年経ったのだから。 気持ちは、敷居を越え、歩き出す、だろう ずっと、幸せであって欲しい、と、身…

収集と収拾

久しぶりに友人と会う。数週間前にも一度会っているけど。家の前で立ち話をし、クルマの部品を外すのに悪戦苦闘、結果を出せず別れる。 数年ぶりにバイクに乗り始め、再び訪れる。400ccの軽い車体、低いギア比が、昔好きだった原付バイクを思い出させる。 忙…

であう

旅の醍醐味は「出会い」かもしれない。様々な意味での出会い。 沼宮内に住んでいた頃。私が生まれた時に世話になった産婦人科への支払いもままならない程生活は困窮していた。結局踏み倒すような形で上京し、その後も苦しい生活が10年は続く。食パンをケーキ…

水の中

小川に寄り添いながら、畦を踏みしめ歩く。 一歩進む度に、澄んだ水の中で魚たちが弾けるように動く。一歩、一歩。 流れを覆うように枝が伸びたその下には、やや大型の魚が混じりだす。その動きも俊敏で、瞬間的な速さは相当なものだろう。 子供の頃に遊びて…

廻る

水田の稲が刈り取られたあとの閑散とした景色の先には丘の頂点に残された林が見える。所沢辺りから点在し、こちらではかつての原風景を想像するに十分な姿があちこちに残されている。開墾し、狩猟から農業という文化を経て現在まで、どの位の時間が経ったの…

じきゅう

[ 駐車場の脇から緩やかな坂道を下り始める。家屋が離れて二棟ほど建つ向かい側に、太陽光発電の設備が備えられていた。以前訪れた時には無かった新しい設備だ。これ程の設備投資を回収するまでにはどれ程の時間が必要なのだろうか。 空からエンジン音が聞こ…

記憶を

[ 再生して整理するもの 結局は排除行動だったのかもしれない。自己嫌悪の原因を自覚した夜、午前4時に眠りに就く。 雨の中、駅前で昔の恋人を認める。声をかけたけれど気づくこと無く目の前を通り過ぎる手を掴み、引き寄せてもう一度声をかける怪訝そうな表…

新しき

踏切を越えた先。実篤の理想を型にする、野心を具現化した小さな共同体。現在は20人ほどが暮らしているという、この小さな理想郷には過去数回訪れている。近辺を通りかかった時に入り口への看板に母が気づき、その存在を知らされた。名前のみ知る存在だった…

書き捨て

後先考えず、衝動的な行動、言動がセーブできない。 身体的なものか、心理的なものか、よくわからない。あの件がそれ程残っているという自覚は無いそこに問題があるのか、 もっとそれ以前、そしてそれ以降全ての連なりがそうさせているのか 考えても答えは出…

その村

以前は車がすれ違うのにも難儀した旧街道の軌跡は、今は片側二車線の幹線道路になっている。その道を迂回するようにダラダラと長閑な道を進み、入間市辺りから合流すると同時に軽い渋滞にはまる。昭和43年式のグロリアでレーダーに引っかかり切符を切られる…

ちょっと だけ とおくへ

先に書いた「絵を描く方」が上京していた土日。 またある方はネットで知り合った方同士の結婚式に出かけていたり。 と、それぞれの時間を過ごしている様を、僅かな時間差で携帯電話の小さな画面から見つめる。 少ない言葉のやりとりの中から生まれる、思い込…

ぼっと あらわれた いのち

不思議な子 ひとり遊びのようなもの。ハイクでも見かける、プログラムでサーバー内を検索し、法則に従い言葉を選び呟き続ける存在。 定型化された単調なやりとりを、いつも冷めた目で見ていた。 虚しく宙に放たれ続ける無機質な言葉に、違和感と少しの寂しさ…

独り言

いまだに過ぎたことを引き摺っていたり 思い返したり。もうあれから半年が過ぎ、でも変われなかったり、変わったり。意外な人と話したり、近しいひとから避けられたり。スライドするように依存したり、甘えが過ぎたり。いまだにネジが外れたままなのか、とり…

おもう

[[ 行きは山側を車窓から眺めて、と言っても場所によりけりだけど、それとは逆の、進行方向左側の席に座り、振り返るような姿勢でブロンズががったガラス越しに外を眺める。並走する国道を走る車の追い越しざまに、車内の人と何度も目が合う。休日を過ごす家…

えそら

近いうちにまた来る、という曖昧な確信を持ってこの街を後にする。動きだした景色を眺めつつ、ここにいるきっかけを思う。 望まずして一方的に断ち切られたもの。単純に裏切られるという事に慣れることは、この先いくら時間を重ねても無いだろう。 昨晩の追…

あるく

漱石さんだか英世さんが飲み込まれては吐き出されるのを数度繰り返した後に、諦めて窓口で盛岡までの切符を求める。「片道ですか?」と、愛想の良い窓口の女性に訊かれ、思わず往復と答えそうになるのを堪えながら硬い厚紙の切符を受け取り、尖った角の感触…

ながめ

仄暗い階段を昇って行くと、ホームと屋根の隙間から青空の色が際立って見えた。 気温は徐々に上昇し、初夏の、でも乾いた肌触りの良い風が構内を吹き抜けていく。同じ場所は待合室を必要としない、様々な意味で丁度良い季節。時間は容赦なく誰にも平等に過ぎ…

こおる

今よりも冬が寒かった頃。父が子供の頃は国道4号線の交通量は疎らで、凍結した路面の上で「下駄スケート」で遊んでいたそうだ。馬淵川も当時は凍結し、スケート遊びが行われていたのだが、ある時氷を踏み抜いて亡くなった子供が出て、それ以来禁止になったと…

ながれ

この辺りの馬淵川は流れが穏やかで、看板で見かけたアユ釣り場のイメージと一致している。あの時感じた恐怖感とは遠い場所に感じる。川沿いを左に進む。風に揺らめく木陰の下を歩く。影の主を見上げると未確認飛行物体的外観の古い外灯が視界に入る。その草…

午睡

朝、開くとお世話になっていた方が姿を消していた。 戻ったあとも真っ先に気付いてメッセージを頂いた。 彼の言葉が大好きだ。知人にも公言する程に。音楽、詩や絵も。 声も好きだ。 午睡から目覚めたあとに、またお会いしましょう。待っています。

むかし

寺院の敷地から出ると、右手に先ほどの家族連れが目に入る。しばらく墓参の様子を見つめ、野球少年と目が合うのと同時にその場を後にする。 水路に寄り添う緩い坂道を下る。父の友人の実家の向かいにある古い木造家屋から、お婆さんとその孫が現れ、道を横切…

あとに

あの日に見た空を思い出す。あの日の出来事、雹、北風に乗り押し寄せる雲、夕日、羽のように舞う雪。 あの時と今、あまり変わっていないのかもしれない。残りの僅かな変化は、誰かに見出してもらえるのかもしれない。 おそらく、自分では見つけにくい場所に…

えかき

なんとなくハイクはご無沙汰。良い写真も撮れないし、絵も描けないので。 ここも文章を書く気力が湧かない。 曖昧で散漫な気持ちを引きずる。 今の状況を量る術もなく、ぼんやりとしている。 来月になれば、ひとつの答えは出るだろう、と思っている。 ぼんや…

ひとりごと

朝からカレーを作る。親父の要望と母の負担軽減の為に。人参のすりおろしをいつもより余計に加えたせいか、少々甘めの仕上がりになる。まあ、健康の為だと思って下さい。偏食の親父さん。市販の粉末コーンスープもいつも通りに。ホールコーンを加えれば、そ…

たばこ

遠い記憶と半年前の記憶を重ねながら、斜面に添うように並ぶ小さな墓地の間の坂道を上り始める。このくらいの時期に訪れるのは初めてかもしれない。覚えのある、でも知らない景色。緑と木陰と青空と乾いた空気。ここでは初めて感じる新緑の香りが加わり、足…